2020年5月11日、フィギュアスケートの2020-2021シーズンのルール改正がISUより発表されました。
ルールが改定されることで、選手サイドはプログラムを見直しが必要となり、場合によっては新ルールに苦戦する選手も出てくるかと思います。
今回はそんなフィギュアスケート2020-2021シーズンの新ルールについて今後どうなっていくのか、ご紹介していきます!
フィギュアスケートルール改正2020-2021
フィギュアスケートのルールは2年に一度改正され、平昌五輪後の2018-2019シーズンに大幅改正されました。
2019-2020シーズンでは一部改正した新ルールでシーズンを開幕し、さらに本年2020-2021シーズンでもルールが改正されました。
今回のルール改正ではニュースなどを見ていると、ジャンプのことが大きく取り上げられていましたが、改正されたのはジャンプのルールだけではありません。
フィギュアスケート2020-2021のルール改正変更点
フィギュアスケート2020-2021シーズンのルール改正では大きく4つの項目で変更になりました。
変更になったのは以下の点です。
・スピン・ステップ・コレオ
GOEも変更になっていますが、各項目で一緒にご紹介していきます。
ではそれぞれの項目を詳しくみてみましょう!
ジャンプ
ジャンプの項目では7個のルール改正がありました。
・GOE変更
・回転不足とエッジエラーに関する変更
・GOEでのプラス要件
・GOEでのマイナス要件
ジャンプ基礎点変更
2018-2019年の大幅なルール改正により、ほとんどの点数が下がったジャンプの基礎点。
「ただ難しいとされるジャンプを飛んだ人に高得点を与えるのではなく、質の良いジャンプを評価しましょう」という意味合いが込められているものでした。
そんなジャンプでしたが、2020-2021シーズンではさらに点数が下がったものと、逆に上がった項目がありました。
それが以下のジャンプです。
4回転ルッツ:11.5▶︎11.0(0.5↓)4回転ループ:10.5▶︎11.0(0.5↑)
3回転・4回転共にルッツの点数が下がり、4回転ループの点数が上がりましたね。
そして今回の基礎点変更により、4回転のループ・フリップ・ルッツの基礎点が同点となりました。
これまでアクセルの次に難しいジャンプとされ基礎点が多かったルッツでしたが、今回の改定でループ・フリップ・ルッツの3つのジャンプは同格とされたということです。
ISUの公式サイトにも
と理由が発表されていました。
ジャンプGOE変更
まずGOEとは何?という人のためにご紹介します。
GOEとはフィギュアスケートの採点方式の一つで、演技審判によって評価される各要素の出来栄え点のことを指します。
これまで「+3〜0〜-3」の7段階だった評価が、「+5〜0〜-5」の11段階へと変更になりました。
その点数の幅は1段階10%の増減という設定になります。
そのため、同じジャンプを飛んだとしてもこのGOEの評価次第では、大きく点数に違いが出てくるのです。
例を出してみましょう!
GOE -5:5.5点減点▶︎ 5.5点
GOE 0 : 減点なし ▶︎11.0点
GOE+5:5.5点加点▶︎16.5点
その差なんと11点‼︎
ジャンプ1つでこうなのですから、その他のスピンやステップなどの点数まで入っていくと、とんでもない点差に繋がる可能性があるということです。
それこそ、ただ難易度の高いものだけをやればいいというわけではなく、質が求められいるということですね!
回転不足に関する変更
本シーズンから、ジャンプの回転不足を示すものとして、新たに「クォーター(qマーク)」ができました。
そのクォーターは回転不足が1/4ジャストの場合に、基礎点は100%もらえますが、GOEが「-2点」引かれるというものです。
そしてアンダーローテと言って、回転不足が1/4〜1/2だった場合のGOEが「-1〜-2」だったものが「-2〜-3」へと変更になりました。
ジャンプの回転がギリギリセーフといえるものにも基礎点を100%でつけて、GOEで評価を加えていくという方式に変更したということですね。
GOEでのプラス要件
現在、ジャンプでGOEでのプラスをもらうために決められた要件は以下の通りです。
(ジャンプ・コンボ、シークエンスでは全ジャンプ)
2.踏切および着氷が良い
3.開始から終了まで無駄な力が全くない
(ジャンプ・コンボではリズムも含む)
4.ジャンプ前にステップ、予想外または創造的な入り方
5.踏切から着氷までの身体の姿勢が非常に良い
6.要素が音楽に合っている
アテンション:-1〜-3▶︎-1〜-2
GOEでのマイナス要件
プラス要件があまり変わりがなかったのに対して、マイナス要件は細かい部分で修正されていました。
その項目がこちら↓
フリップ/ルッツでの間違った踏切エッジ(記号”e”):-3〜-4▶︎-2〜-4
フリップ/ルッツでの不明確な踏切エッジ(記号”!”):-1〜-3▶︎-1〜-2
拙劣な踏切:-2〜-3▶︎-1〜-3
回転不足(記号<):-1〜-2▶︎-2〜-3
回転不足(記号a):-1〜-2▶︎-2
オイラーがステップオーバー:-1〜-2▶︎-1
ジャンプ間で流れがない/方向を失う/リズムがなくなる:-2〜-3▶︎-1〜-3
スピン・ステップ・コレオ
スピンやステップ・コレオでもルール改正が入りました。
基礎点が変更となったのは「コレオシークエンス」のみでした。
元々基礎点が2.0点だったのが3.0点に増えていました。
GOEに関してはジャンプと同じく11段階で評価されます。
+4や+5をもらうためには各要件で1〜3を満たすことが最低条件であることはジャンプと同様です。
ではその各要件の変更点をご紹介していきましょう。
スピン
スピンにおいては大きな要件変更はありませんでしたが、細かく修正されています。
・「ウインドミル」がレベル難要素として認定されなくなる
・トウアラビアン足換えがSPでもレベル上げ要件となった
そのため、今までは難しい入り方でスピンを始めた時のみレベル上げの対象となっていましたが、これからはスピンを難しい形で終わらせた時にもレベル上げの対象となるということです。
ステップ
ステップもスピン同様、大きな要件変更はなく、細かく修正がされています。
ということは難しいターンをいくつも組み合わせたとしても、最初の3つのみしかレベル上げの対象とならないということです。
ということは、レベル4を取るためには、その3つのターンの完成度を極めて完璧にこなす必要があるということです。
今までよりもレベル4を取りづらくなるかもしれません。
コレオシークエンス
コレオシークエンスでは上記でも紹介した通り、基礎点が2.0点から3.0点へと変更されました。
また、GOEのマイナス要件もコレオシークエンスのみ追加になった項目があります。
つまづきや転倒をするとそれぞれでGOEが減点されるのですが、コレオシークエンスに滑らかさがない(ぎこちない)とそれだけでGOEが減点されるということですね。
フィギュアスケートルール改正でどうなる?
フィギュアスケートのルールは2年に1度、6月に行われるISU(国際スケート連盟)総会で決定されます。
2020-2021シーズンの新ルールは例年より1ヶ月早い5月11日に発表されました。
本シーズンでは新型コロナウィルスの影響で世界中のスケートリンクが閉鎖され、今のところ大会がどのように行われるのかもわからない状態ではありますが、選手たちにとってはプログラムを練り直す良い時間となるのではないでしょうか。
フィギュアスケートの新ルール影響は?
2019-2020シーズンでは高得点を狙うあまり、難易度・点数が共に高いジャンプを跳ぶだけの演技になってしまいがちでした。
特にそれが顕著に見られたのが平昌オリンピックでのアリーナ・ザギトワ選手の演技でした。
平昌オリンピックでは
この年、ザギトワ選手はSP、FS共にジャンプの基礎点が1.1倍となる後半に、全てのジャンプを組み込む「固め跳び」を行ったことで大きな話題を呼びました。
成功すれば高得点、しかし立て続けにジャンプをしなければならず、その分怪我のリスクも高かったのです。
ですが、2020-2021シーズンからは4回転の中でもルッツとループ、フリップが同点数となり、質の良いジャンプがどれだけ飛べるかが加点を得る鍵となります。
各選手が得意なジャンプで、どれだけ良質に飛べるかが重要となるため、「ただ飛べばいい」という時代は終わりを迎えることとなるでしょう。
フィギュアスケートのルール改正にファンの声は?
今回のルール改正に対し、ツイッターにはファンからのコメントが多数寄せられていました。
そのうちのいくつかをご紹介していきます。
来シーズンのジャンプのルール改正が出たようで😒一番不思議に思ったのが3回転だとループはルッツとフリップより低いのに4回転だと同じ点数に上げられた事!選手や指導者への納得いく説明とかあるのかしら?#フィギュアスケートルール改正
— パンKUN (@pankunsan3) May 11, 2020
フィギュアスケートのルール改正が発表されました。3回転ルッツの基礎点が大幅に下がり3回転フリップと同じ基礎点になりました。3回転ルッツは男女とも多くの選手が構成に入れているので影響があるかもしれません。新シーズンに向けて選手がどんな戦略で臨むのか楽しみです。#フィギュアスケート
— EN(*˘︶˘*).。.:*♡ (@nakachan1030) May 17, 2020
もうなんていうか、ジャンプの回転数を増やすという進化の方向は 男女共に ほぼ頭打ち(飽和)状態やと思うんよね。生物的に女子がそんなに皆バンバン クワド跳べるとも思えないし、男子も今後5回転を跳べるようになるかといえば現実的ではないと思う。→
— ちよ@脳ミソバグリノ助 (@pianissimo0427) April 24, 2020
ここ数年、毎年ルール改正するスポーツってどうなのよ。しかもこの状況で練習もできないというのに(。・ˇ_ˇ・。)ムゥ…
まさに「事件は会議室で起きてんじゃない、現場で起きてんだ」…
選手が報われますように。#フィギュアスケート— März (@mynameismarch16) May 13, 2020
今回のルール改正によるプログラムがどうなるかが楽しみという声もありますが、全体的に見ると厳しい声が多いように感じますね(汗)
フィギュアスケートルール改正(2020-2021)でどうなる?まとめ
今回はフィギュアスケート2020-2021シーズンのルール改正についてご紹介していきました。
変更となるのは「ジャンプ」と「スピン・ステップ・コレオ」、それらのGOE(出来栄え点)でした。
これまではただ難易度の高いジャンプを飛んで点数を獲得していた選手が多かったですが、新ルールでは質を求められるようになります。
フィギュアスケートはスポーツでありながら「芸術性」が求められる競技なので、ただ跳べばいいというわけではなく、「質の良い演技を評価します」という体制に変わるようです。
新型コロナウィルスの影響で、本シーズンはどのように始めるかは未だわかりませんが、各選手の演技構成が今から楽しみですね!
統計的に見ると、4回転ループが最も難易度が高いと思われるが、選手の体型による部分も大きいので、これら3つのジャンプは同じ基礎点にした。
3回転ルッツをフリップと同じ基礎点に下げた理由は、調査において3回転ルッツとフリップはジャンプを踏み切るまでの動きを含めた技術的な難易度が同じだと分かった。